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2010年04月 アーカイブ

お気に入りなのよ 2

唐草模様に代表される、動植物をモチーフにした曲線模様が主体のアール・ヌーボーに対し、アール・デコは機械によって量産可能な、金属質で直線的なデザインの様式であった。

このアール・デコ様式を好まれた朝香宮は、一九一〇年のご結婚の際に賜った白金台の一万坪の土地に、三年の歳月をかけてアール・デコの粋を集めた館を建築したのである。

建築の設計、施行は現赤坂迎賓館を手がけた宮内省内匠寮があたり、室内装飾は宮様の要請で、アール・デコの第一人者フランスのアンリ・ラパンが担当した。

館内は質素な外観とは異なり、洗練されたヨーロッパ直輸入のアール・デコ様式がいたるところに見られる。
玄関の床は古代エジプトの幾何学模様を配した大理石のモザイクタイル。

ガラス工芸家ルネ・ラリックによる、四女神像を浮き彫りにした玄関のガラスレリーフのすばらしさなどは息をのむ思いである。

お気に入りなのよ 3

大広間わきの大きな香水塔は、そこに入れられた香水が電灯の熱でほのかな香りを発し、大切なお客様を迎える時に使われたもの。

各部屋ごとの意匠をこらした照明器具は、ラジエターカバー、エッチングガラスをはめこんだ扉などを眺めていると、華麗な貴族の生活を垣間見る思いがする。

長い間幻の建築といわれていたこの朝香宮邸は、その後、所有権が西武鉄道に移り、戦後は政府が借りて外務大臣公邸や国の迎賓館などに使用されたが、一九八三年に、建物につづく和風庭園、洋風庭園とともに東京都の庭園美術館としてオープンしたのである。

ここは各種の展覧会場として利用されているが、それぞれの作品がこの館の各部屋の壁面に飾られると、その作品が一だんと輝きを増すように思われる。

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