お気に入りなのよ 2
唐草模様に代表される、動植物をモチーフにした曲線模様が主体のアール・ヌーボーに対し、アール・デコは機械によって量産可能な、金属質で直線的なデザインの様式であった。
このアール・デコ様式を好まれた朝香宮は、一九一〇年のご結婚の際に賜った白金台の一万坪の土地に、三年の歳月をかけてアール・デコの粋を集めた館を建築したのである。
建築の設計、施行は現赤坂迎賓館を手がけた宮内省内匠寮があたり、室内装飾は宮様の要請で、アール・デコの第一人者フランスのアンリ・ラパンが担当した。
館内は質素な外観とは異なり、洗練されたヨーロッパ直輸入のアール・デコ様式がいたるところに見られる。
玄関の床は古代エジプトの幾何学模様を配した大理石のモザイクタイル。
ガラス工芸家ルネ・ラリックによる、四女神像を浮き彫りにした玄関のガラスレリーフのすばらしさなどは息をのむ思いである。