ここはホントにイイ!   2

この美術館は、本郷の東京大学弥生門の前にある。
となりは「弥生美術館」で、二館並んで建っている。
外観は菊坂の菊富士ホテルを模したもので、一九九〇年十一月の開館である。

暗闇坂につづく通りから見ると、門の木立の向こうにその建物がみえる。
この付近は大正や昭和初期のたたずまいが残っていて、緑の静寂があり、憩いの美術館ともいえる。

創設者鹿野琢見氏は、大正、昭和の人気挿絵画家たちの絵を収集したとき、夢二の絵も集め、この夢二館が独立したのである。
日本髪の乙女が巻紙のたよりを読んでいる絵が、門の横の黒い自然石に刻まれている。
「ぬれて来ばよしや涙にあらずとも、うれしきものを山のおとつれ 夢生」と賛がある。

「山」とは笠井彦乃のことで、夢二は自分を「川」と呼んで、二人は忍び逢っていた。
彦乃は夢二の多彩な女性関係の中で、最愛の女性であった。
この絵の実物は館内に展示されている。

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