なんて素敵な・・・☆1
ある日のことです。
それはまるで雑誌のページに出てくるような部屋でした。
「パリジェンヌの一人暮らし」というようなタイトルでいかにも日本の雑誌に紹介されそうな、嘘のようにイメージ通りの部屋だったのです。
しかもその部屋の住人、ローリーの職業は、といえば、これまた絵に描いたように「アーチスト」なのです。
こういう部屋が実際に存在し、こういう人が実際にそこに住んでいるということが、あまりに出来すぎのため、かえって非現実的な気がしたほどだった。
パリの13区と14区の境に位置するその建物は今世紀初頭建築の煉瓦建てで、それ自体としてはとりたててこれといった特徴はなく、むしろ殺伐とした雰囲気ですらありました。
そしてその雰囲気をさらに盛り上げるかのように、右隣は病院、左隣は修道院、裏側は墓場。
その日、空はどんよりと曇り、空気は生暖かく湿っていました。